昔っからそうだった気がする。
どいつもこいつもみんな思いは一方通行。
結局通りはしないまま。 工事中。
標識無しの一方通行
「かったり・・・」
「そんな事言わないで早くお仕事行ってきなよ! 日番谷くん!!」
「って言ったって俺もう隊長に昇格決定したんだからこんな雑魚の仕事とか
行かなくてもいいんじゃねぇ?」
「なんかソレ自慢に聴こえるよ 私には」
「いや でもお前だって副隊長に任命されたじゃん どいつの隊だっけか」
「藍染さんのところ」
「ああ あのニコニコ顔」
「そういえばこの前挨拶しに行った時も素敵な笑顔だったな」
「あー」
「聞いてる?日番谷くん!!」
それは俺や他の死神の隊長、副隊長任命後のことだった。
たまたま一緒にいた雛森と話していた。
その時はまだ折角隊長クラスになったものの本当に隊長となるまでの有余期間だった。
その為まだ雑魚虚の魂葬だとかのちまちまとした仕事を受けることになった。
全くもって面倒臭いことで有余期間などすぐ過ぎてしまえと思った。
その時は
「あーあ でも日番谷くんが私より上いっちゃうだなんて なんか寂しいな」
「何言ってんだ?お前」
「なんか結構一緒にいるの長かったから 急に離れちゃう感じなの
日番谷くんはそういうのないの?」
「別に」
「そっか・・・あのね 日番谷くん」
「なんだ?」
「不安とか ない?」
「ない」
「日番谷くんらしいや 私不安で なんか副隊長だなんて大役って感じするの
ほら他の隊の副隊長って阿散井くんとかもいるし なんか・・・・自信 ない」
雛森の顔が地面に向けられる。
若干小さい拳がぎゅっと音を鳴らせた。
でも結構最初はこう思うよな 誰でも。
などという同情の言葉をかけようと思ったがやめておいた。
なんとなく体が震えていて逆に同情なんかかけたら壊れそうに見えた。
そう見えたのは俺だけかもしれないが。
「雛森」
「・・・・なに?」
「俺は別に不安なんて無い 死神になるって感じた時からこういうのは考えてたからな」
「う やっぱり そうだよね」
「まぁ確かにお前みたいな不安感じてるやつだっているけどよ
しょうがない事だし俺はなんも言えない」
「うん」
「でもその不安を自分だけで解決できたってんなら俺は少し お前を見直すよ」
「・・・・うん・・・・」
「頑張れよ ホント」
「ありがとう 日番谷くん!!」
「別に・・・・俺の思ったこと言っただけだし?開き直り早いなお前ゴキブリ並」
「その憎まれ口がなかったら本当に良い男の子なのに!!」
でも正直なんで俺は雛森を慰める様な言葉を言ったのか。
べつに特別な思い入れなんか無いハズだ。
「じゃぁもうすぐお仕事行きなよ 日番谷くん!!」
「あーそうだな」
「じゃあね!!頑張って!!」
雛森は笑顔で手を振った。
もしかしたら俺 コイツの笑顔を見たかったとか 思ったのか?
まあ・・・別に悪くも無いと思った。
確かにコイツの笑顔見るのは好きな方だ。
認めるのも悪くないかもな。
「雛森」
「え?なに?」
「笑ってろよ ずっと」
「え あ!うん!!」
でもきっと一方通行なのは目に見えてる。
相思相愛なんかにはあんま興味もないし それでもいいかもしれない。
昔っからそうだった気がする。
どいつもこいつもみんな思いは一方通行。
結局通りはしないまま。 工事中。
それでもいいかもしれない。
人を愛しいと感じた日 少しそんなことを考えた。
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