シャイボーイ






「雛森ィー。・・・また、か。」

あたしは 昔はとっても泣き虫だった。(まぁ 泣く理由はとてつもなく単純だったけど。)
だから良く彼に叱られてた。

「おいおい、毎日の事だろ?いい加減慣れろよ。」
「・・・ひ・・・っく・・?」
「あ?」
「ひ・・・つがや・・くん?」
「当たり前だ、馬鹿野郎。とっとと降りて来い。」

悲しい事、怖い事、痛い事があれば、すぐに木に登って泣いてたあたし。
でもどんな大きな木に隠れても彼はすぐに見つけてくれるのだった。

「嫌だよぉ・・・私今顔酷いもん・・・。」
「いつも変だろ。いいからとっとと降りろ。」
「煤E・・うぁあ・・・。それぐらい判ってるよぉ・・・。」
「あー悪かった悪かった。今のは俺が悪かった(棒読み)。だから降りろ。今すぐ降りろ。」

二人とも幼かったから、良く話しの辻褄が合わない会話もあった。

「・・・笑わないでよ・・?」
「わかったから。」

降りようとして、木の窪みに足を乗せて其処から降りようとした。

「うわぁっ!」

そしたら滑って木の下にあわや落下しそうになった。
ところが何故か、いつも必ず彼が抱きとめてくれていた。

「・・・危ねぇなぁ・・・。」
「うわわわわ!!日番谷くんいつもゴメン!大丈夫?」

あたしは日番谷くんの上から飛びのいた。

「ああ・・・。まったく、気をつけろよ。」
「うん判った。。」

さて行くか、と彼が言った。

「え・・何処行くの?」
「はぁ?お前昨日言っただろ?いいモン見せてやる、って。」
「・・・!そう言えば!」
「ほら、行くぞ。時間が無ぇ。」
「時間制限つきなの?」

彼に小走りでついて行きながら聞いた。

「ああ。しかも毎日表情の変わる奴だ。」
「・・・?何、動物?」
「そんなにちゃちいモンじゃねぇぜ。」
「じゃあ何・・・?」
「着きゃ判るって。」

それからちょっと歩いて行った。
もうそろそろ空が赤みを帯びてきた。

「よっと。見えるか?雛森。」
「・・・・・・うわぁ・・・。綺麗。。」

目の前に広がるは、真っ赤な空と真っ赤な夕日。
まるで宝石みたいだったのを覚えている。

「だろ?此処は俺のとっておきの場所なんだぜ。お前が第一号。」
「第一号・・・。」

その言葉が何故かとても嬉しかった。

「・・元気、出たか?」
「え?」
「いや、今日のお前さ、元気なかったから・・・。」

どんどん小声になる彼は、夕日の所為かは知らないが
顔が赤かった。

そんな彼にクスリ、と笑って

「うん、出たよ。有難う。」

と言った。
彼は「うー」とか「あー」とかって唸っていた。

「また、元気が無くなったら連れて来てくれる?」
「・・・おうよ。」




それから数年後----------------------------------------


「あ"ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・。」
「如何したの?日番谷くん。」

やっぱり今も彼は唸っていた。

「報告書が書けねぇ・・・。」
「あはは。日番谷くん、昔から国語苦手だもんね。」
「・・・。雛森は?」
「あたしは藍染隊長に書いて貰いました♪」
「畜生・・・。」

頭を抱え込む彼に思わず笑みがこぼれる。
昔も今も変わってないなぁ。

「元気無いね。」
「当たり前・・・。」

そんな彼にクスリ、と笑って


彼の額に軽く口付け。

そしたら彼はゆでだこみたいになった。

「どう?元気出た?」
「おうよ・・・。」

そんな彼は





あたしの愛しいシャイボーイ。




コメント 時代の流れに沿って、日桃。
日番谷くんて凄く可愛くてカッコイイと思います。
同期設定萌え!!!
update:2003/10/05
written:雨衣
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