この頃

何一つ、伝えてはくれないから

たまには私から、と思って

そっと彼の寝顔に


唇を落とした。






多分



それが原因








 恋詩








「・・・・・・・・だから我慢した、のに」






低い声が苛立たしげに







「・・・・まんまとその決意・・・・・壊しやがって」







そう呟く日番谷くんは

とても

怖くて



悪戯にキスなんてするんじゃなかった、と

今更ながら後悔したりして



掴まれた手首が、とても熱くて

知らずと体が震えていたのに気が付いた。



「・・・・・・・・ごめんな、さ」


その場から逃げようと身をよじった私を

彼は、そのまま畳に縫いとめる


「・・・っ」

「ずっと、お前を傷つけたくないと思ってた」

「・・・な」


彼の悲痛な面持ちに出る言葉も消えて

変わりに


彼の抱擁



「・・・・・ひつが・・」


胸の中にすっぽりと収まる感じで

そこで初めて鼓動が伝わってきた。



早い鼓動



「・・・雛森」


いつもとは違う声色で

責任取れよ、と耳元で低く囁かれると

途端

体中の力が抜け出ていってしまう



心臓はこんなにも脈打っているというのに




「・・・・・・・・・・だから、この頃冷たかったの」


「・・・・・・俺は勝手に、一人で思い詰めていただけなのか」


「・・・・ねぇ」


「・・・答えてくれ、雛森」





日番谷くんは震えていた、ほんのわずかだったけど

それにちょっと苦笑して

彼の背中を撫でた。




「・・・・・・なんか子供みたいだね」



「・・・悪かったな」



「・・・大好きだよ、日番谷くん」



「・・・ん」



「・・・・・ずっと、何もしてもらえなくて・・・・淋しかった」



「・・・・・今夜泊まってくか・・・・一括払いで今までの分返すから」



「・・・・一括払いって」



何かいっぱい溜めてたって感じだね。



「分割って言うのはダメ・・・?」




「・・・・・・俺としては、一括がいい」




思わず顔がかぁっと赤くなって

今まで撫でていた手でばしっ、と背中を叩いてやった。


「何で、そんなに性急なんだろうね」


「・・・・・・男の性だろ」


「馬鹿」


「・・・・悪いようにはしねぇから」


「・・・・何か、日番谷くん悪い人みたい」


「・・・そうだな・・・・お前の純潔奪おうと狙ってる」




ちゅっ、とキスされて熱っぽい吐息が絡まる。

そのまま熱に惑わされたかのように

段々とキスは深くなっていって

私の知らなかった範囲にまで及んで

戸惑って



「・・・・・もっと、力抜けって」

「・・・・・・そう言って」






「一括にしようとしてるでしょ」


真っ赤になった顔で上の日番谷くんを押しやる

彼は動じてもいなかったけど



「・・・・・・好きだぜ」


「・・・そんなこと」


知ってる。

いつもしてくれていたキスの意味も。

でも


全ては







「・・・・・やっぱ、一括って事になっちゃうの、かなぁ」




そうぽつりと呟いた私に




「・・・・・そうしろって」




日番谷くんはもどかしそうに私の髪をすく

ゆっくりとその手は頬を伝って、首を伝い、肩の方へ

褄を肩からずり落とした




「・・・雛森」





何か返そうとした口は彼によって塞がれて

その腕は私を捕らえて離さない

全てはそう言うこと





「大好きだよ・・・・」







恋する人へと送る言葉


それはさながら媚薬のように


甘い














少し成長した二人の話



















コメント おひさしです!甘いのを書いてみたくて、でも何だかうだうだと・・・・・(涙)
雪花祭! 色々ださせていただきました。うふふ。花見月の公開が楽しみです(*^−^*)
日番谷くんと雛ちゃんのイメージが可笑しくなってしまいました。あぁ・・・しんみり。しんみりすぎるだろ!
もっと楽しいもの書きたい今日この頃です。
長月でした。
update:2004/02/21
written:長月
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