雪の日に…




雪の降りしきる今日、俺とこいつは丁度非番が重なっていたらしくどこで聞きつけた俺のところへやって来て遊ぼうなどと言い出した。

「たぶん乱菊だろうな…」
「え? 乱菊さんがどうかしたの?」

ぼそっとつぶやいた言葉に桃が顔を覗き込みながらたずねる。

「別に何でもねーよ」
「そうなの? じゃあさ一緒に雪だるま作りに行こうよ!」
「あ〜っ 何でこんな寒い中外で雪だるまなんか作るんだよ、俺はこたつの中でいいよ」
「ねー日番谷くん、いいでしょっ。せっかく雪が積もったんだしさー。雪だるま作ろうよ」
「…ったくしょうがねーなー」

いつもこうだ、こいつに何かを頼まれると俺は断ることができなくて従ってしまっている。

「ほらっ、いっぱい積もってるよっ」
「うわっ、ほんとすげー寒い」
「もー、そんなこと言ってないで雪だるま作ろうよ」

「ヴ〜っ 寒いっ、いくら手袋してても冷えるなー」
「よっこらしょっ。これで完成か」
「うんっ、これでかんせーだね…あっちょっとまってて最後の仕上げ…」

桃はあたりをきょろきょろと見回して何かを探している。

「何さがしてるんだ?」
「ん〜ちょっとね」
「見つかりそうか?」
「もう少しで…」
しばらくしてあいつが持ってきたのは木の枝と石ころだった。

「そんなもんどうするんだよ」
「これはね、こうしてこの雪だるまの手と目にするの」
「は〜っ」
「それにこうして私の手袋をつけて今度こそできあがり!」
「これで完成でいいのか? って言うかお前の手袋…」
「うんっ、別にいいの」
「じゃっそろそろ帰るぞっ」
「そうだねっもうだいぶ時間もたったし」
そう言いながらこいつは俺の手を握ってきた。

「今日はありがとうね日番谷くん、久しぶりにいっしょに遊べて楽しかったよっ」
「………」

手をつないで歩いていて手袋ごしにでも伝わってくるほどこいつの手がつめたくなっているのに気がついた。

「お前、こんなに手がつめたくなってるじゃねーかっ…ほらっ、俺の手袋つけてろよっ」
「えっ?別にこれくらい大丈夫だよ。それにこれ着けたら日番谷くんの手がつめたくなっちゃうからだめだよっ」
手袋を返そうとしたこいつの手をとって、
「いーからつけてろって」
「………じゃあさっこうしよっ、これなら日番谷くんも少しは寒くないから」
こいつは片方の手袋を俺にわたして来て、着けてないほうの手をまたつないだ。
「おいっよせよ」
「いーのっ、これなら二人ともあったまれるから」
半ば強引なこいつのペースに乗せられてまた歩きはじめた。俺はあらためて手のつめたさを感じ取った。

「ねー日番谷くんっ」
「何だよっ」
「また雪が積もったらさっまたいっしょに雪だるま作ろうねっ!」
「そーだなっ、また来年もこんな風に雪が積もったらなっ」
「うんっ、約束だよっ」

次にこうしてこいつと遊ぶときには手袋もう一つくらい用意しとくかな。

「ん? どうかしたの日番谷くん」
「いや、べつにたいしたことじゃねーよ」

今度はこんなにこいつの手をつめたくはさせないようにしないと………。






――― END ―――

コメント 自分の中で初めて最後まで書ききったものです。
いつも途中で他の案が浮かんでそれを書き始めちゃったりして
完成まで持って行けずじまいで・・・
まあ何にせよこれからもがんばってSS書いていくつもりですので
皆さんよろしくお願いします。
written:フレンス
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